2003-11-01から1ヶ月間の記事一覧

四方田犬彦『回避と拘泥』ISBN:4651700624

「はじめて日本語を褒められた日」という題名で文章を書くことができた人間がこれまで存在したとしたら、それはいったい誰であっただろうと想像してみる。それは一六六九年のシャクシャインの戦いの後に日本への帰順を強いられたアイヌの酋長の若い息子だろ…

海野十三『赤道南下』ISBN:412204233X

うんのじゅうざ、とよむ。なんだか、本を集めている人の間ではしられているようだけれども、戦前戦後すぐくらいに冒険小説や探偵小説を書いていた。新青年系と、私の中では勝手に認知されているけれども、実際は違うのかもしれない。で、その人の昭和17年ご…

奥泉光『ノヴァーリスの引用 *1 』ISBN:4087475816

はずかしながらノヴァーリスとかに、青春の一時期傾倒したりしていないのだった。物理的に薄いけれども中身も割と薄い。著者の自作解説 *1 には「物語が語られるのではなくて、語ることそのものが、物語を創生していく機微を描いたもの」とあり、その通りに…